高額な買い物をした際、受け取った領収書に「収入印紙」という切手のようなものが貼られているのを見たことはないでしょうか。
日常生活であまり目にすることは少ない収入印紙ですが、そもそもなぜ領収書に貼られているのか疑問に感じたことはないでしょうか。
また、全ての領収書に収入印紙が貼られているとは限らず、何を基準にルールが決められているのか分かりづらいものです。
そこで今回の記事では、収入印紙とは何なのか、収入印紙の正しい貼り方なども含めて詳しく解説します。
収入印紙とは

そもそも収入印紙とは、以下のように定義されています。
”国庫の収入となる租税・手数料その他の収納金の徴収のために、財務省が発行する証票”
出典:小学館 デジタル大辞泉
日本には印紙税法とよばれる法律があり、20種類の文書(課税文書)を発行する際に税金が課されます。
このとき納める税金を印紙税とよびますが、収入印紙を購入し書類に貼り付けることで印紙税を納付したことを証明します。
収入印紙が必要な場合とは?
印紙税は20種類の課税文書を発行する際に納める必要がありますが、必ずしも無条件に収入印紙が必要になるわけではありません。
収入印紙が必要であるか否かは、以下の要件に沿って判断します。
- 20種類の課税文書に該当するか
- 非課税文書に該当するか
上記の2つの要件を満たした場合のみ、収入印紙が必要であり、それ以外の場合については収入印紙は不要です。
ちなみに、2の「非課税文書」とは、課税文書のうち例外的に印紙税が課税されない文書のことを指します。
たとえば、領収書を発行する場合、以下のいずれかの条件に該当するものは非課税文書にあたります。
- 5万円未満の領収書
- 紙で領収書を発行しない場合(PDFファイルをメールに添付するなど)
- 現金で決済していない場合(クレジットカードやQRコード決済など)
ただし、3のクレジットカードなどで決済した場合については、領収書にその旨が記載されていることが条件となります。
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収入印紙が必要な課税文書の種類と印紙税額
収入印紙が必要な課税文書とは、具体的に以下の20種類が該当します。
収入印紙の正しい貼り方

課税文書に対して収入印紙を貼る場合、どのような方法と手順を踏めば良いのでしょうか。
領収書への収入印紙の貼り方も含めて詳しく紹介します。
収入印紙の正しい貼り方と消印
契約書などの書類の場合、表紙または表題部分の左右どちらかの空白部分に収入印紙を貼り付けます。
収入印紙は切手と同様に裏面に糊が塗布されており、濡らすことで紙に貼り付けることができます。
また、収入印紙を貼り付ける際のルールとして、収入印紙の再利用を防ぐために消印を押さなければなりません。
消印は認印以外にも、署名(サイン)などでも可能ですが、必ず収入印紙に印影または署名がかかるようにしなければなりません。
領収書への印紙の貼り方
領収書へ収入印紙を貼る際には、空白部分であればどこに貼っても構いません。
ただし、収入印紙を複数枚貼る際には上下または左右に並べて貼るのが通例となっているため、印紙の大きさと空白部分を比較しながら検討しましょう。
また、領収書についても、収入印紙に印影がかかるように消印を押す必要があります。
収入印紙の購入場所について
収入印紙はさまざまな場所で購入できますが、代表的な例を挙げるとすれば以下の通りです。
- 郵便局
- 法務局
- 役所
- コンビニ など
時間帯を問わず購入できる点ではコンビニがおすすめですが、高額な収入印紙は取り扱っていないケースも考えられます。
千円単位、または万単位の収入印紙を購入する際には、郵便局や法務局などを利用しましょう。
印紙税の納付を効率化する方法
通常、印紙税は収入印紙を購入して書類へ貼り付けますが、膨大な書類を処理する場合には「印紙税納付計器」の導入がおすすめです。
これを活用すれば、収入印紙の代わりにスタンプを押印することで処理でき、収入印紙の購入や管理、貼り付け、消印といった作業を大幅に軽減できます。
クアディエントの印紙税納付計器「RA-1/RA-1J」は、200円から60万円までの印紙税を納付でき、管理ソフトを利用することで部門ごとや担当者ごとの詳細な使用実績を集計することも可能です。
また、使用限度の設定や、使用者コード・パスワードを設定することで、万全のセキュリティ対策も実現できます。
印紙税を納めなかった場合のペナルティはある?

「領収書などは当事者間でのやり取りであり、収入印紙を貼らなくてもバレないのではないか?」と考える方もいると思います。
しかし、税務調査が入ったタイミングで印紙税を納めていないことが発覚した場合、過怠税とよばれる税金が課され、本来納付すべき印紙税よりも何倍もの金額を納めなければなりません。
領収書の発行にあたっては、紙ではなく電子化することで収入印紙を購入する必要がなくなるため、取引形態を見直すことも検討してみると良いでしょう。
電子契約書に収入印紙は必要?
紙による領収書ではなく、電子化した領収書であれば収入印紙は不要と紹介しましたが、その他の文書ではどうなるのでしょうか。
20種類の課税文書の中にはさまざまな「契約書」が含まれていますが、課税対象となるのはあくまでも紙による文書のみです。
そのため、紙を発行せず、オンライン上で電子契約を行う際には印紙税も対象外ということになります。
電子契約における収入印紙の取り扱いについては、2005年の国会においても上記の見解が示されており、ペーパーレス化を促進することは印紙税の節税対策にもつながります。
まとめ
収入印紙は領収書以外にもさまざまな文書に対して貼る必要があり、ルールが厳格に定められています。
印紙税額の違いや非課税文書など、細かな条件はあるものの、書類としてやり取りするのではなく電子化することで印紙税の節約にもつながります。
